どん底の私を救ってくれたフィンランド

旅行

日本人でフィンランドに魅了されたという人は結構多くいますが、私もその一人です。

フィンランドに興味を持ったきっかけは、多くの人がそうであるように映画「かもめ食堂」です。あの映画を観て、今まで映画やドラマで見てきた欧米のオープンさやストレートさとは少し違ったフィンランドの雰囲気がとても自分にフィットしていると感じ、漠然と「いつか行ってみたいな」と思うようになりました。映画に登場するインテリアや食器・雑貨もどこか素朴な雰囲気があって、心がほっとする印象を受けました。あと、忘れてはならないシナモンロールにも。

27歳の時、私は人生のどん底にいました。それまでも辛い時期はありましたが、群を抜いてしんどい時期でした。当時、私は正社員で営業事務として働いていました。就業の1時間以上前に会社に行って、残業代を付けると上司に小言を言われるので、残業代を付けずに夜遅くまで働く。冬の間は日が昇る前に家を出て出社し、有休はほとんど取ったことがありませんでした。担当の営業さんとも折り合いが悪く、毎日怒られたり、「愛想がない」「ロボットみたいだ」などと言われていました。確かに当時の私も少し頑ななところがあり、今より取っつきにくい人間だったかもしれません。でも、やはりこれらの言葉には深く傷つきました。日に日に自分は無能だと思うようになり、本気で消えてしまいと思うほどでした。とうとう疲れ果ててしまった私は、会社を辞めることにしました。社会人になってからすでに3社目の会社でまた辞めることになり、かなり落ち込みましたが、あのまま働いていたら、本当にどうにかなってしまいそうでした。

会社を辞めると決めた時、もう一つ決めたことがありました。

それは「フィンランドに行く」ことです。

海外在住の友達に会いに行くため、一人で飛行機に乗ったことはありますが、完全に一人で海外旅行に行くのは初めてでした。不安はたくさんありましたが、自分はどうしてもフィンランドに行かなければならないと、強い決意がありました。両親は「行ったこともない国に一人で行くなんて」と心配はしていましたが、一度決めたら突き進んでしまう私の性格を知っているので、最後には「行ってきなさい」と言ってくれました。当時はSNSもそこまで普及していなかったので、ガイドブックやネットで調べたりして計画を立てましたが、今思えば結構行き当たりばったりな旅で、行ってみないと分からないという感じで、それはそれでとても楽しかったなと思います。

私にとって初めてのヨーロッパ圏の国だったので、美しい街並みに魅了されたことを覚えています。あと、現地の方がとても親切で優しかった。ホテルに辿り着くまで、道に迷った時も私のカタコトの英語に耳を傾けてくれて丁寧に道を教えてくれたり、ヘルシンキ大聖堂の前で写真を撮ってくれた女性、夜ごはんをテイクアウトしたお店の店員さんもみんなとても優しかった。ヘルシンキの街をたくさん歩き回り、現地の人々や綺麗な景色や可愛い雑貨に触れ、疲れ果てていた心が少しずつ緩まっていく感覚がありました。そしてヘルシンキからフェリーでスオメンリンナ島に渡り、島からヘルシンキの街並みを眺めた時、「あぁ、私はもう大丈夫だ」と自然と思えました。

フィンランドに行くと決めた時、どうしても「森」に行きたいと思っていました。フィンランドと言えば、やっぱり「森」ですよね。そこで日本人向けのツアーでヌークシオ国立公園に連れて行ってもらいました。私はだいたい旅行は個人で回るのが好きなんですけど、さすがに森に一人で行くのは少し抵抗があったので、こちらのみツアーで行きました。このツアーで焚火をしながらシナモンロールとコーヒーを頂いたのですが、すっかり森に癒されて今まで自分の中にあった負の要素が浄化されていくような気がしました。

ヌークシオ国立公園の湖

生きていく中で何かに躓いたり、一杯一杯になってしまうことって、たくさんありますが、そういう時に限って狭い世界から抜け出せなくなってしまったり、八方塞がりだと思いがちなんですけど、あえていつもと違う環境に自分を置いてみると、意外と吹っ切れたり「私、まだやれるな」と思えたりするものだなと思いました。今から振り返るとずいぶん前の話ですが、この時自分を狭い世界の外へ連れ出せたことは、今の私にとってとても大きい自信になっています。

6年ほど前、もう一度フィンランドへ行きましたが、そろそろまた行きたいなと思っています。ただ物価が高いので、もう少しお金を貯める必要がありそうですが、叶えたい夢です。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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