10年ぐらい前のアニメですが、「Psycho-Pass」にハマっています。
アニメ好きな人からすれば、「今更?」という感じかもしれませんが、私は今まで全くアニメに興味がなくて、子供の頃に「ドラえもん」や「ちびまる子ちゃん」等、オーソドックスなアニメしか観てこなかったタイプなので、こんなにハマって自分でも驚きなんですけど、特に1期は作品としてかなりクオリティが高いと思います。本当に何周目か分からないぐらい何回もリピートしてます。そしてついにコミック版までも入手してしまった自分がコワい。
~以下、ネタバレ含みます~
舞台は、2112年の日本。
人間の心理状態や適性等を数値化するシビュラシステムの導入によって、犯罪係数を瞬時に割り出し、それをもとに犯罪を犯す前に数値が高い者を「潜在犯」として捕えることによって、平和が保たれた社会。犯罪係数100以上だと潜在犯となり、犯罪係数300を超えると「ドミネーター」という銃によって、その場で処刑されるという何とも恐ろしい制度です。
主人公は、常守朱や狡噛慎也を中心とした犯罪者を取り締まる公安局刑事課1係の面々です。この部署には「監視官」と「執行官」がいて、執行官は潜在犯認定された人間であり、犯罪者を捕まえるための猟犬として扱われ、その執行官を管理するのが監視官の仕事です。
この作品の魅力は舞台設定や公安局の面々はもちろんなんですけど、最高のヴィラン「槙島 聖護」の存在でしょう。私は昔から映画でもドラマでも敵役が好きなんですけど、この槙島は圧倒的なカリスマ性があり、今まで見てきた敵役のなかでも群を抜いて素晴らしいキャラクターだと思います。槙島はどんな残忍な犯罪を犯しても、犯罪係数を感知されない免罪体質者で、シリーズ序盤から中盤では、他の潜在犯達の犯罪を手助けし、それを観察して楽しみ、見限ると始末するという残酷な行動を取ります。これだけ聞くと、槙島はただの支配的な犯罪者なんですけど、彼の主張を聞くと不思議と共感してしまう部分があるんですよね。
槙島は免罪体質者であることによって、シビュラシステムから存在を無視され続け、世間から爪弾きにされた人生を送ってきました。彼の詳しいバックグラウンドは紹介されていないので、詳細は不明ですが、いじめでもそうですが、存在を無視されるって本当に辛いんですよね。そうした人生を送ってきた槙島は「人間は自らの意思で行動した時のみ価値を持つ」と主張します。シビュラシステムの言いなりになり、自ら考えることをやめてしまった人々に、人間の本質を問いただす。それ自体は凄く共感できる部分ではあります。現在の日本もシビュラシステムほどではないですが、与えられた情報をそのまま受け取って、無意識に流されてしまう傾向があると思います。自分より大きな存在が、こうだと言えば、それを鵜呑みにしてしまうことって、普段の生活でも多々ありますよね。
槙島のやってる事は、完全にアウトなんですけど、別の見方をすると行動次第では革命家になり得た人だったのではないでしょうか。
そして槙島の特徴と言えば、とにかくセリフがいい。特に11話での朱に対する彼のセリフは考えさせられる部分がたくさんありました。11話はとても残酷な回でしたが、とてもパワフルなエピソードだったと思います。それと槙島のセリフは数々の文学作品や哲学者の言葉を会話に引用する場面がたくさん出てくるんですけど、その知性は過去の文学作品や哲学者の言葉から、自分の存在意義を見出そうとした結果なのかなと思いました。想像するに幼い頃から孤独だったであろう彼は、読書に没頭し理論武装することで、自分を保っていたのかもしれません。紙の本へのこだわりとか、読書に対する愛が感じられます。
槙島のセリフはどれも印象に残るものが多いんですが、特にお気に入りなのが、シビュラからの勧誘を一蹴する時に放った「僕はね、この人生というゲームを心底愛しているんだよ。だからどこまでもプレイヤーとして参加し続けたい。(アニメ「Psycho-Pass」第17話より引用)」というセリフです。彼の本質を表している最高な言い回しです。最初聞いた時鳥肌が立ちました。それにしても、もし槙島がシビュラの一員になったら、システムごと乗っ取りそうな気もしますが…。
また、槙島を語る上で欠かせないのが、執行官「狡噛慎也」の存在です。狡噛は元監視官の刑事で、槙島が関わった事件で部下が殺され、それがきっかけで潜在犯となり執行官へ降格となりました。狡噛には何としてでも槙島を捕まえるという執念があります。シビュラシステムに囚われない執念を持つ狡噛に、槙島は興味を持ちます。シビュラがどう判定しようが関係なく、狡嚙は槙島を追う。システムではなく自分の判断で行動する狡嚙に、槙島はある種のシンパシーを感じています。個人的には槙島はある意味とても人間臭く感じます。狡嚙が分析していたように数々の悪事の根源にあるのは、シビュラシステムによって仲間外れにされた疎外感です。ただ残酷なだけの敵役ではなく、こうした人間臭さが彼の魅力でもあります。
最終回に独白される槙島の心の内は、あれだけ残虐な行為を行ってきた犯罪者とは思えないほど、純粋な寂しさを含んでいました。そして追ってきた狡噛の「自分の代わりはいない」という言葉に、今までにない安らかな笑みを浮かべ、狡噛の手で射殺されました。
この槙島のラストがとても詩的でこれ以上ないぐらい美しいシーンでした。あまりアニメを観てこなかった自分としては、こうしたクオリティの高い作品に出会うことができて、ひとつまた世界が広がった気がします。続編も続編で面白いけど、観れば観るほど槙島が恋しくなる。本当に強烈なキャラクターです。また他の作品でも面白いものを探していきたいな。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。



コメント